事務所便り記事
 
 
 
 
 

前回は,差押えの中で最も効果的な預金の差押えなどについて説明しましたが,今回はその他の資産の差押えについて説明致します。

相当高額な支払を求めている場合には,不動産差押が検討の対象になります。

不動産の存在は不動産登記簿で確認できますが,差押えには,鑑定費用などを含めて100万円程度が必要になりますので,少額の請求には向きません。

不動産を差し押さえて競売になっても担保権者が優先的に支払を受けます。

従って,抵当権設定済不動産の場合は,担保権設定からどの程度の期間が経っているかを見て,こちらの取り分が残っているかどうかを検討してみる必要があります。

根抵当権の場合は,枠一杯の債権が残っている場合が多いと考えられます。

動産の差押はどうでしょうか。

一般的な差押えのイメージというと,家財道具に差押票が貼られた光景だと思います。

しかし,現在では現実にそのような光景を見ることはほとんどありません。

その理由は,日本には中古動産の確立した市場が存在せず,家財道具を差し押さえてもほとんどお金にならないからです。

それでは自動車はどうでしょうか。中古自動車については確立した市場も存在します。

自動車の差押えには競売までの間,相当高額な保管費用がかかりますが,数百万円以上で処分できるような高級外国車などがあれば,かなり効果的です。

逆に,数十万円の回収のために普通の国産車を差し押さえるということは,費用倒れの恐れがあります。

なお平成16年に財産開示手続といって債務者に自分の財産を開示することを求める制度ができました。

財産が見つからない場合は,その申立も検討すべきですが,あまり実効性がないと言われています。

平成26年12月

各種資産に対する差押えについて

 
 

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