事務所便り記事
 
 
 
 
 

先月と先々月に離婚についての原則的な扱いについてご説明しました。

しかし実際の離婚は,必ずしもそのような原則的な扱いの通りにはいきません。

実際に多いのは,裁判で離婚ができる理由には当たらないいわゆる性格の不一致を原因として,離婚を強く希望する場合です。

双方が離婚自体は希望していても親権者についての合意が成立しないと離婚はできませんし,どちらか一方は,離婚自体を希望していない場合もあります。

離婚を強く希望する側は,相手方の有責性を主張することが多いのですが,冷静に判断するととても離婚原因に当たるとは言えない場合がほとんどですし,離婚を望むあまり,相手方を無理やり追い出してしまったりして,自ら有責配偶者になってしまうこともあります。

このような場合は,感情的にならずに冷静に対処することが一番必要なことです。

相手から拒絶されているのに,自分だけ婚姻関係を継続したいと希望する状態が,長期間続くことはまれです。たいていは離婚自体については仕方がないと考えるようになります。

従って,相手方が離婚を望まないとしても,その理由は,離婚に伴う様々な条件に納得ができないか,納得ができる提示がなされないだろうと予想しているという場合がほとんどであるということになります。

そうすると,離婚を希望する側としては,どこまで経済的な条件を提示できるか,と言う問題になりますし,当初,離婚を希望していなかった側としては,相手方が経済的に納得のいく条件を提示してくるかという問題になります。

前回,離婚に伴う金銭のやり取りについて,原則的なお話しをしましたが,今回お話ししたような状況では,その原則から離れて,経済的な納得の有無が問題になってきます。

ただし,子どもの親権の問題については,違った側面がありますので,次回説明致します。

平成27年9月

性格の不一致などによる離婚の実際

 
 

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