事務所便り記事
 
 
 
 
 

離婚の際に親権者についての合意ができない場合,家庭裁判所が審判で決めることになりますが,家庭裁判所の判断には,いくつかの原則的な基準があります。

・ 年少の子どもは母親を親権者にする。

・ 兄弟姉妹を別れさせない。

・ ある程度,判断能力がある年齢に達している場合は,子どもの意思も尊重する。

などです。

よく父親側から,母親に経済力がないことが主張されますが,その点は養育費の支払でまかなうことになりますので,あまり重視されることはありません。

これらの基準が原則になりますので,父親が年少児の親権を取得するためには,母親側に大きなマイナス要素が存在し,父親側に養育環境が整っていることが要件となります。

例えば

・ 母親が子どもに対して虐待を行ってきた事実

・ 母親に著しい不行跡があること

などの事情があり,かつ父親側に親族の協力などによって,子どもの養育に支障がないようにできる場合は,父親側に親権が認められることになります。

なお,実際に養育する監護者と,法律行為などについて決定する親権者を別にする(母を監護者,父を親権者)ことも可能であり,例がないわけではありませんが,監護者や子どもにとって不便が大きいので,通常は,このような指定はしません。

親権者に指定されなかった側の親は,定期的に子どもに会う権利(面接交渉権)が認められ,親権者との協議が調わない場合は,調停を経て最終的には審判で回数や条件などが決まります。

ただし,この権利も最終的には,親ではなく,子の権利(親権者ではない親に会う権利)であると考えられていますので,子どもの養育上,適切でない場合は,制限されることもあります。

平成27年10月

離婚の際の親権の決め方

 
 

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