離婚の方法には協議離婚,調停離婚と裁判離婚があります。
この3種類は手続も違いますが,一番大きな違いは離婚の理由と強制力です。
協議離婚と調停離婚は,相手方と合意さえできれば,どのような理由ででも離婚を成立させることが可能ですが,合意ができないときは,どのような理由があっても離婚を成立させることはできません。
裁判離婚は,離婚原因として民法に規定されたものしか理由にできない反面,それが存在すれば相手の意向にかかわらず,離婚ができることが原則です。
手続の違いとしては,協議離婚は当事者で離婚届を書いて市(区)役所に出せば済みますが,調停離婚と裁判離婚は家庭裁判所での手続になります。この場合でも市(区)役所への届出は必要ですが,調停調書や判決を持参すれば,届出に相手方の協力は不要です。
なお裁判離婚を申し立てるためには,調停離婚が不成立になることが原則として必要です。
裁判離婚の離婚原因の代表的なものは不貞行為であり,次は「婚姻を継続し難い重大な事由」で,これにあたる代表的なものは暴力,ギャンブルなどによる経済破綻,長期間の別居,夫婦として不当な性交渉の拒絶などです。
一方,裁判離婚の原因にならない代表的なものは,単純な性格の不一致です。
協議離婚や調停離婚のかなりの割合が,性格の不一致を理由とするものではないかと思いますが,これは裁判離婚の理由にはなりませんので,相手方と合意ができなければ,これを理由として離婚することはできません。
また,未成年の子どもがいる場合は,親権者を決めなければ,離婚届が受理されませんから,この点についての合意ができなければ,結局,離婚の合意ができないとの同じです。
この場合,家庭裁判所の審判で親権者を決めることになりますが,裁判離婚の原因がない場合は,審判の結果が不利だと予想する当事者は,離婚自体を拒否する可能性があります。