前回,遅延損害金の話を少ししましたので,今回は,利息との違いを含めてもう一度,説明します。
遅延損害金は,元々の契約が何であっても発生する可能性がありますが,通常,利息が発生するのはお金の貸し借りについてだけです。
お金の貸し借りについては,弁済期が必ずあります。
具体的に決めれば,その日になりますし,決めなければ,催促をしたときになります。
お金を借りても弁済期までは返す必要がなく,自由に利用できます。
つまり,その間に運用して増やすことも可能なわけです。
その運用可能な利益の対価が利息です。
そのため,商取引では,利息を払うという約束をしなくても年6%の利息が発生します。
商売はお金を増やすためにするものですから,お金を借りるのも,通常はお金を増やすためであると考えられるからです。
一方,民事上のお金の貸し借りでは,利息を払うという約束をしなければ,利息は発生しません。
ちょっと手元にお金がなかったので友人に借りたという場合,それを運用するという発想はないでしよう。
なお,利息を払うという約束だけして,利率を決めなかった場合は,年5%になります。
これらに対して,遅延損害金(遅延利息というときもあります)というのは,期日の約束が守られなかったことに対する損害賠償ですから,お金の貸し借りに限らず,また,民事,商事を問わず発生します。
ただし,利率や遅延損害金の額・割合を決めなかった場合,民事は年5%,商事は年6%になります。
利率と遅延損害金の割合は,利息制限法の範囲内で原則として自由に決められますが,遅延損害金の割合については,その他に特定商取引法などによる制限もあります。