事務所便り記事
 
 
 
 
 

今回は刑事事件の手続について説明します。

刑事事件では,被疑者の逮捕手続から始まることがほとんどです。

犯罪の嫌疑があっても,証拠隠滅又は逃走のおそれが無い場合は,逮捕手続を採らずに取調べをして,裁判所に起訴することになります。

しかし,通常,証拠隠滅のおそれは,どの事件でもある程度認められますので,ほとんどの場合,逮捕手続から始まります。

その後も,証拠隠滅又は逃走のおそれがある場合は,勾留されることになります。

この場合,本来の勾留場所は警察とは別の拘置所ですが,数が足りないなどの理由で,ほとんどは警察の留置施設に勾留されます。

勾留期限は,最大で20日間です(逮捕から勾留までは72時間以内)で,検察官は,その間に裁判所に起訴するかどうかを決めます。

起訴されなければ釈放されますし,起訴された場合,その後も証拠隠滅又は逃走のおそれがある場合は,勾留が続きます。

起訴されるか不起訴になるかは,犯罪についての証拠が充分あるかどうかがひとつの基準ですが,証拠が充分あっても,被害が軽い,示談が成立している,初犯であり反省しているなどの事情がある場合は,不起訴になる場合もあります。

起訴された場合は,裁判が始まることになりますが,その前に保釈手続について説明をしておきます。

証拠隠滅も逃亡のおそれもない場合は,いつでも裁判所に対して保釈の請求ができます。

一般的には,裁判の第1回期日の後,または起訴がすべて終わった時点に保釈が認められる場合が多いですが,最近は保釈そのものが認められやすくなっている上,上記のタイミング以前でも保釈が認められるケースもあります。

保釈に当たっては,保釈保証金を支払う必要がありますが最近は150万円以上の例が多いようです。

保釈保証金については,手数料を支払って立替えてもらう制度もあり,裁判所も保釈保証金の全部又は一部について,この制度の利用を認めています。

平成28年12月

刑事事件の手続

 
 

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