事務所便り記事
 
 
 
 
 

前回,養老保険には問題点もあるということだけをお話ししましたが,その点をご説明するために,まず,法律上,お金を先に受け取るということについてお話しをします。

お金は原則として,時間が経過すると増えるという扱いを受けます。

それが端的に理解できるのが利息という制度であり,民事上の取引では利息を支払うという合意があったとき,商取引では,利息を支払わないという合意がなかったときは,借りたお金を返すときには利息を支払うことが必要です。

これは,時間があれば,そのお金を元手にして商売などの方法で稼ぐことができるという考えが元になっています。

そうすると,将来受け取るべきお金を同じ金額で先に受け取ると,得をすることになります。

それを防ぐための一番分かりやすい方法が中間利息控除という制度です。

交通事故などで,十分に働けなくなった場合,その損害は逸失利益という名目で賠償の対象になりますが,その損害は,働くことができる期間,毎年(通常,年収で損害計算を行います)発生するもので,最後の年(通常,67才)に発生する逸失利益は,何十年も先の損害という場合があります。

しかし,何十年にもわたって,毎年,損害賠償を支払うのは大変なので(被害者の承諾があれば可能です),通常は,将来の分を含めて一括で支払います。

そのときに中間利息控除と言って,運用が見込める分を差引いて計算をします。

左上の表は,その例の一部ですが,年数と比較して掛ける数字がどんどん小さくなっていきます。

保険契約における保険料についても,同じような状況があり,養老保険などでは,保険料に何十年も先の満期近くで必要になる分も含まれています。

次回は,今回の説明を踏まえて養老保険の問題点についてご説明します。

平成29年10月

お金を先に受け取るということ

 
 

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