事務所便り記事
 
 
 
 
 

前々回に養老保険にも問題点があることをお知らせしましたが,今回は,その点を説明致します。

養老保険は,必ず保険金が支払われますから,高齢や満期近くで死亡したり,満期を迎えた場合の保険金は,払込済み保険料の総額とあまり違いは無く,貯蓄的な要素が強い保険です。

実際にも主に貯蓄の目的で契約する人も多いでしょうし,そのような性質の保険として勧誘されています。

このような保険の保険料の中には,将来の死亡事故又は,満期における保険給付をするための部分が多く含まれています。

この保険料は保険金の支払時期を基準とすると前払されている形になりますから,保険会社による運用利益を見込んで,一定の割引がされています(前回の記事をご参照下さい)。

保険の配当というのは,この割引を大きく上回る運用ができたときに支払われる仕組みになっていますが,割引の割合というのは通常,保険会社の安全策として低めに見積もられており,過去においては,割引を大きく上回る運用が可能でした。

そこで,それらの実績を元に,これくらいの配当が見込めますという形で勧誘がされてきました。

ところが,バブル経済の崩壊により,勧誘の際に示した配当どころか,保険料の割引分にも届かない運用しかできないケースが多発しました。

そこで,勧誘の際に示された配当額が全く支払われないという問題が発生しました。

さらにそればかりではなく,つぶれてしまう保険会社もでてきました。

この問題については,保険会社が提示する書面には,必ず「配当額を保証するものではない」と書かれていますので,勧誘書面通りの配当を支払えと主張することは極めて困難です。

しかし,満期保険金が支払保険料総額を下回るような場合には,貯蓄目的が全く果されませんから,一定の範囲では損害賠償請求が認められる可能性もあります。

平成29年11月

養老保険の問題点

 
 

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