今回から,保険について少しご説明しようと思います。
保険は大抵の方にとって身近な制度であり,簡単に思いつくところでも,生命保険,火災保険,自動車保険,入院保険などがすぐに上げられるのではないでしょうか。
身近な制度であるだけに,法律的なトラブルも少なくありません。
しかし,ひとくちに保険と言っても実はかなり性質の違うものがあり,正確に理解することがなかなか難しいところがあります。
そこで,まず,大まかな性質の違いと代表的な保険についてご紹介します。
保険の種類として,一番大きな分類は,定額保険と損害保険です。
定額保険というのは,支払われる保険金の額が,あらかじめ決まっている保険です。
その代表的なものは生命保険です。
生命保険では,例えば,被保険者が死亡したときは1000万円払うという約束をして,実際に死亡という事実があれば,1000万円がそのまま支払われます。
もうひとつの類型は,損害保険というものであり,実際に発生した損害額に応じた保険金が支払われます。
この類型の代表的なものは,火災保険です。
火災保険でも,いくらの火災保険に入ってるとかいう言い方をします,例えば1000万円の火災保険に入っているとか言います。
しかし,生命保険との違いは,この1000万円というのは支払の上限のことであり,火事に遭っても損害額が200万円ならば200万円だけが支払われます。
この点は,多くの人があまり理解しておられないところです。
このように性質が違う契約が,どちらも「保険」という同じ名前で呼ばれていることには,きちんとした理由があります。
それは,保険金の支払理由になる事故などが発生する確率が分かっているということです。
この点については,次回にご説明します。