前回,営業秘密が不正競争防止法によって保護されることを説明しました。
不正競争防止法が規制の対象としているものは,営業秘密の不正取得や利用だけではありません。
その他に以下のような行為が不正競争防止法によって「不正競争」とされています。
・ 他人の商品表示(業務上の氏名,商号,商標,標章,容器包装など)を勝手に使ったり,似たものを使った商品を売るなどして,他人の商品や営業と混同させること
・ 他人の有名な商品表示を自分の表品表示として使用すること
・ 他人の商品の形を真似した商品を売ったりすること
これらは,簡単に言えば,色々な方法で偽物を売ったりするような行為です。
・ デジタルコンテンツのコピーやアクセスを管理する技術を無効にする機器やプログラムを提供すること
・ 不正にドメインを使用すること
・ 商品の原産地や品質などを偽ること
これは外国産の製品などを国産として売ったり,他の材質が含まれているのに○○100%のような表示で販売したりするような行為です。
・ 嘘をついてライバル業者の信用を落とすこと
・ 代理権や販売権がなくなったのに,総代理店とか特約店という表示を勝手に使いつづけること
これらの行為に対しては,止めさせることを求める差止請求,偽物の廃棄やそれを作るための設備の除却,信用回復のための謝罪広告や取引先への謝罪文送付などの請求の他,損害賠償の請求も行うことができます。
不正競争行為は,特許権や商標権,意匠権といった登録がなされていない場合でも対象になりますが,これらの権利が登録されている場合は,その権利の侵害行為にもなります。
その場合,被害を受けた側は,どちらの法律を根拠としても請求が可能です。
請求内容や立証の容易さを考えて,請求を組み立てることになります。